アメリカが実習生搾取を非難

アメリカの国務省が、日本の外国人技能実習制度を問題視しているとニュースになった。『世界各国の人身売買に関する報告書(2021年版)』で、「外国人労働者搾取のために悪用しつづけている」と非難されたのだ。

ビオンテック共同創業者の夫ウグル・サヒンと妻オズレム・トゥレシ。
ビオンテック共同創業者の夫ウグル・サヒンと妻オズレム・トゥレシ。(ロイター/アフロ=写真)

技能実習生は、最長5年の在留資格を得て、受け入れ企業で賃金をもらいながら働く。現在は全国に約41万人いて、国籍はベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイの順に多い。

この制度は、国内でも「人権上の問題あり」と指摘されてきた。低賃金、残業代未払い、長時間労働、労災隠しなどがあるからだ。失踪する実習生は2%ほどいて、その理由として「給料・業務内容が契約内容と異なる」がトップに挙がっている。

移民と違って、外国人労働者は在留期間が終われば帰国させられる。産業界が「人手不足だ」と訴えれば、政治家は次の選挙に勝ちたいから「20万人増やしましょう」と入管法を改正する。人数が増えても“使い捨ての安い労働力”であることに変わりはない。

日本人は意識しないが、そのような扱いには偏見や差別がうかがえる。自国にも不法労働者を劣悪な条件で雇用する企業が(ニューメキシコ州やアリゾナ州などに)たくさんあるアメリカに指摘されたくはないが、政治的・社会的に移民政策に取り組んでいるドイツなどの国から見れば“搾取”と映るのはやむをえないだろう。