男性セラピストが女性に性的サービスを行う「女性向け風俗」の利用者が増えている。女性向け風俗セラピストの柾木寛さんは「以前に比べてレジャー感覚の若い利用者が増えた」という。ホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾さんとの対談をお届けする――。(前編/全2回)
情報にアクセスしやすくなりハードルが下がった
【坂爪】この10年で女性向け風俗は爆発的に広がりました。かつて都内で数店舗にすぎなかったのに、いまは150店舗以上に増加したと聞きます。個人が自由に情報にアクセスできるうえ、利用者も情報を発信できる環境になり、ハードルが下がって、抵抗を感じる女性も減っていったのでしょうね。
【柾木】私は6年ほど前から女性向け風俗の世界で働きはじめたのですが、業界……特にお客さまの意識の変化は本当に著しい。当初、女性向け風俗は、ひっそりと営業されており駆け込み寺的な役割も果たしていました。夫婦仲は悪くないけれど、長年セックスレスに悩む40~50代の女性、性交痛に苦痛を感じている女性、性交中の演技に疲れた女性、女としての自信を喪失してしまっている女性……。そんな切実な悩みを抱える女性たちが利用してくれました。しかし最近は20~30代で、プロの技術を試してみたいと連絡をくださる若い世代が多い。地方から上京し、ディズニーランドで遊んだ翌日に、女性向け風俗を予約する。そんなレジャー感覚の女性が増えた気がします。
【坂爪】1970年代~90年代にも、女性が主体的に性を楽しもう、という動きはありました。しかし、反体制運動やフェミニズムの理論が基になっており、政治的にラディカルな主張も多く、「男女がお互いにきちんとコミュニケーションを取り合って性生活を楽しんでいこう」という感じではなかった。それから30年近く過ぎ、ようやく男女のコミュニケーションをふまえた形に変わっていったように見えます。