学校と塾のいたちごっこで入試問題は難化した

中学入試の内容は年々難しくなっている。では、なぜ小学生の子供にそんな難しい問題を出すのだろうか。

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そこには、学校側の切実な願いが込められている。

お父さんたちが小学生だった頃の30年前の中学入試は、算数なら解法のパターンを覚えるだけで対策がとれた。今ほど必須ではなかったが、中学受験の勉強をするには、塾に通うのは王道で、当時は四谷大塚が難関中学合格に一番近い塾として人気があった。通っていた人も多いのではないだろうか。

多くの大手塾にとって、塾の使命は中学受験に必要な勉強を教え、できるだけ多くの受験生を難関校に入れることだ。そのため、大手塾はその年の入試が終わるとすぐに問題を分析し、解くための知識やテクニックを開発して、翌年のテキストやプリントに載せ、子供たちに教える。すると、学校は別の切り口の問題を翌年の入試に出す。テクニックだけで解くような子を求めていないからだ。

新しい問題が登場すると、今度は大手塾が再びそれを解くテクニックを開発し、教える。もし、翌年の入試で同じような問題が出て、「こんなの塾では習っていない」と言われたら困るからだ。こうして、両者のいたちごっこがヒートアップした結果、塾のテキストは年々分厚くなり、受験生が勉強すべき「量」が膨大になってしまった。それが、今の中学受験を大変にしているのだ。

難関校が欲しいのは「伸びる可能性がある子」

中学受験で猛勉強をして入ってくると、入学後に伸び切ってしまう子がいる。また、パターン学習だけで入ってきてしまった子は、自分で考えることが苦手だ。勉強だけでなく、何に対しても人から指示されたことしかできなくなってしまう。

そんな子をたくさん見てきた難関校は危機感を覚え、年々考えさせる問題を出すようになってきた。欲しいのは、「中学受験の勉強で伸び切ってしまった子」ではなく、「入学後に伸びていく可能性を秘めた子」だからだ。

それが、入試問題にも表れている。近年の難関校の入試問題は、既存の知識を問うだけの抜き書き問題はほぼなく、初見の問題をその場で考える傾向に変わってきている。自分の手を動かして調べたり、考えたりしないと答えが出すことができない試行錯誤力が求められる問題だ。こういう問題を解くときに必要になるのが、集中力と注意力だ。その力をつけるのに必要なのは何か?