インターネットを調べれば、ほとんどのことはすぐに答えがみつかる。それなのに受験勉強をして、大学で学ぶ意義はどこにあるのか。元大阪市長の橋下徹弁護士は「大学に行く意義は、受験勉強を通じて事務処理能力を高めることにある」という――。
※本稿は、橋下徹・堀江貴文『生き方革命 未知なる新時代の攻略法』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
コロナ禍でさらに大学の意義が問われるようになった
大学のあり方に対して、疑問を抱く人が増えてきたように思う。
これまで日本の大学は、学問を学ぶところというより、企業に就職するためのチケットだとみなされてきた。高度経済成長期以来、良い大学を出て、良い会社に入るのは、安定した人生を送るための必須条件だと考えられてきたわけだが、もはやそうしたルートは安泰とは言えなくなった。
コロナ禍では、さらに大学の意義が問われることになった。多くの大学がオンライン講義に移行し、そのこと自体は評価されるべきだろう。
だが、オンライン講義をただ視聴しているだけなら、いまやインターネットにあふれている有名大学の無料講座や、それこそ大学での授業よりもよほどためになる動画を視聴することと変わらない。
インターネットでは無料なのに、大学のオンライン講義では通学の場合と同じだけ授業料を取るのはおかしいのではないか、そうした疑問の声も上がっている。
僕自身は、大学完全否定派ではない。理系の研究などは、オンライン授業だけでは実施できないだろうし、一部能力のある者はネットだけであらゆることをどんどん学ぶことができるだろうが、そうではない人が多くいるのも現実だ。
大学の質を高めることを前提として、大学で学びたいという者が、家庭の経済状況に左右されずに学べる環境を整えることが政治の使命だと考える。
だが、あらゆる人が大学に行くべきだとも思わない。
いまの日本の大学の状況をしっかり認識し、自分のどのような能力を伸ばすことができるのかをしっかり知ったうえで、大学進学を決めるべきだ。