世界規模での人口増や気候変動がこのまま進めば、食料不足がやってくる。とくに食肉は消費量が増えても、供給量を増やせず、需給の逼迫が予測される。そこで注目されているのが「代替肉」や「培養肉」など、人工的につくった肉だ。元日本マイクロソフト社長の成毛眞さんは「2040年には世界の肉の60%が、動物本来の肉ではなく、培養肉や植物からつくられた人工肉に代わる」という――。
※本稿は、成毛眞『2040年の未来予測』(日経BP)の一部を再編集したものです。
人口が増えて、食肉が足りなくなる
日本の人口は減少しているが、世界規模では人口増加が続く。1950年に26億人だった世界の人口は2020年には78億人になった。そして、2040年には90億人に達するシナリオもある。
そこで問題となるのが食料だ。途上国が経済成長をすると、食生活はどう変わるか。
それは、肉を食べるようになることだ。
世界の食肉の消費量は、2000~2030年の間にそれまでのおよそ70%、2030~2050年の間にさらに20%拡大すると予測されている。しかし、農地や畜産など食料生産に使える土地は限られている。牛肉1キロの生産に必要な穀物は、8キロ程度だ。
氷に覆われていない地球の土地の4分の1は、すでに家畜用の牧草地だという。おまけに、現在子牛から育てて食肉となるのには2、3年かかる。供給を増やすのにも限界がある。
そういった中、環境や動物愛護の観点からも、欧米諸国で開発が進むのが、「代替肉」だ。植物性の大豆などを原料にしたもので、ベジミート、大豆ミートなどの名前で日本でもスーパーなどで代替肉の「ハンバーグ」や「ソーセージ」などが売られている。