なぜ海洋放出までに10年という長い時間がかかったのか
テレビの夜のニュース番組でコメンテーターが「政府は見切り発車した」と酷評していたが、今回の海洋放出という決断までに政府は10年という長い時間を掛けている。視聴者の多い番組では、事実関係をしっかりと把握したうえで責任ある発言を行ってもらいたい。
後半で朝日社説はこう書く。
「政府や東電は、納得が得られるまで対話を尽くすとともに、放出する場合は客観的で信頼できる放射性物質のモニタリング体制を整えるべきだ。何よりも、不都合なことが起きた時、制度上は公表が義務となっていなくても、積極的に情報公開する必要がある。怠れば不信が深まり、風評被害も拡大する」
もちろん、モニタリングは欠かせないし、情報公開という透明性の確保も必須である。ただ、この10年間、対話を通じて地元の大半は海洋放出の安全性には理解を示しているはずだ。彼らが心配するのは、消費者の理解不足から生まれる風評被害なのである。