野党政治家の無責任な反発には驚かされるばかり

中国と韓国の反発は想定内ではある。外交では自国の利益を主張するのが当然だからだ。一方で、驚かされるのが、日本の野党政治家の反発だ。

下水処理場
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海洋放出が決まった13日、立憲民主党の福山幹事長は記者団に「国民に十分な説明がなされていない。『海洋放出ありき』で進んだとしか言いようがない。環境への影響や風評被害対策が何も示されない状況での決定は遺憾だ」と政府を批判した。

しかし、10年前の福島第1原子力発電所の事故は、旧民主党の菅直人政権のときに発生した。菅政権は現在の立憲民主党の幹部らによって構成されていた。処理水をめぐる問題も旧民主党政権時から続いている。立憲民主党はこうした事実をどう考えているのか。本来ならば、海洋放出の政府決定を支持して原発事故の後処理に協力すべきではないか。

「反発」は消費者の誤解を招き、風評被害を助長する

一方、与党である公明党の山口那津男代表は13日、「当時政権を担っていた方々には、もう少し事実の経過に対して責任を持って発言してもらいたい」と苦言を呈したが、まったくその通りだと思う。

山口氏は「海洋放出はやむを得ない対応だ。国民全体に理解が進むよう、政府に努力してもらいたい。国際社会に対しても科学的な根拠に基づいた発信に努めていくべきだ」とも述べている。

自民党も二階俊博幹事長が13日の記者会見で、「海洋放出は国際的にも広く認められたやり方だ。自民党としても支持したい。政府は地元の不安解消と風評被害の回避に万全を期してほしい」と語っている。

風評被害をできる限り食い止め、福島県産などの農水産物とその加工食品を保護することが政府と政権与党の大きな役目である。

福島県の漁業関係者が海洋放出を問題視するのは、消費者が放射性物質の存在を気にして購買を止めることにある。前述したようにトリチウムの出す放射線はかなり弱く、紙1枚で遮ることができる。地球上のどこにでも存在し、放射線が半分になる半減期は約12年と短い。しかも海洋放出では海水で薄められる。むやみに恐れる必要はないのである。こうした事実を政府は懇切丁寧に説明し、国民の理解を得る必要がある。

野党が中国や韓国と一緒になって反発するのも問題である。消費者が誤解をするからだ。