30代共働き夫婦の「マイホーム購入あるある」

30代共働き夫婦の「マイホーム購入あるある」を考えてみた。みなさんは、いくつ当てはまるだろうか。

(1)家賃を払うのはもったいないから、早く購入するのがおトク
(2)頭金がなくても全額住宅ローンを組めばいい
(3)家賃並みのローン返済額で買えるなら、買ったほうがおトク
(4)マイナス金利の今は絶好の買い時!
(5)転勤になったら、賃貸に出せばいい

実は、上記5つは「ダメダメ」要素。すべてに当てはまる人は、ハイリスクな住宅ローンを組む可能性が大きい。

家賃を支払うのはもったいないという気持ちはわからないでもない。しかし、失業や収入減など不測の事態が発生したとき、賃貸であれば、家賃の安いところへ引っ越しをしたり、一時的に実家に住まわせてもらうなどして、支出を減らして乗り切ることも可能だが、住宅ローン返済は待ってくれない。

昨年のコロナ禍で収入が大幅減少し、ローン返済が困難になる人が続出している。収入減で家計の収支が悪化した時に頼りすべきは「イザという時の貯蓄」だ。頭金の用意ができずに全額住宅ローンを組むと、ローン返済開始後も貯蓄ができていないケースが多い。困った時に使う「イザという時の貯蓄」がないと、早い段階でローン返済が困難になってしまう。

貯金箱
写真=iStock.com/Sezeryadigar
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「家賃並みの返済額」という言葉の落とし穴

「家賃並みの返済額で家が買える」というセールストークも落とし穴だ。たとえば、共働きで現在家賃を月15万円払っているカップルがモデルルームで勧められたプランは次のようなもの。

「6000万円を金利0.537%(変動金利)、35年で借りると毎月の返済額は15万6734円です。今の家賃に6000円ちょっと足すだけで、6000万円の新築マンションが買えます!」というもの。確かに、家賃に数千円足すだけで6000万円のマンションが買えるなら、買ったほうがお得と思えるだろう。

しかし、それは錯覚だ。賃貸の時の年間住居費は、180万円。購入後は、ローン返済額が月15万6734円、マンションの管理費・修繕積立金が月3万円かかるとし、固定資産税が年15万円なら、合計年約239万円にもなる(金額は一例)。支出は、賃貸の時よりも年約60万円もアップする!

家賃並みのローン返済額にすると、60万円分貯蓄ができなくなるし、もともと貯蓄をしていない人は60万円分、貧乏になってしまう。

金利が低いと支払う利息は少なくて済むので、外的要因としては「買い」であるが、それは自己資金の準備がある程度できている人の話。物件価格全額を住宅ローンで賄うことになれば、ローンの借入額が多額になり、結果として支払う利息の金額は多くなる。この点に注意したい。

また、「転勤になったら、貸せばいい」と考えるのも、かなり危険なこと。フルタイムの共働きを前提として住宅ローンを組んだ場合、転勤により家族で移転すると、妻は今の仕事を手放すことになるので、収入はなくなるか、転勤先で仕事を見つけたとしても大幅ダウンすることは免れないだろう。

賃貸に出し、家賃をローン返済額相当とした場合、管理費・修繕積立金と固定資産税は持ち出しとなる。さらに世帯収入がダウンすると、貯蓄ができなくなってしまう。