緊急事態宣言が3月21日で解除される見通しだ。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「ここ1年間のコロナ禍で、おおよそ3~4カ月に一度の周期で感染の波がやってきました。ワクチン接種の進度が他国に比べて遅い日本では宣言解除後は再び感染者が増え、第4波がくると考え、経営者もビジネスパーソンも資金や対策の準備をしたほうがいい」と指摘する――。
緊急事態宣言が解除される見通し…そして第4波は来る
一都三県で延長された緊急事態宣言は3月21日で解除されるようです。経営コンサルタントである私は、2021年に入って首都圏・近畿圏を中心とした2度目の緊急事態宣言が出てから顧客企業の経営者に対して、以前にも増して「資金の確保」をすることの重要性を伝えています。新型コロナウイルスの第4波が来る、と心配しているからです。
感染症の専門家ではありませんが、最近のコロナに関する数字を見るや、そう感じずにはいられません。経済も全体的にはある程度回復の兆しが見えていますが、一部業種では、低迷どころか存亡の危機に瀕している業種もあります。先の展開が見えない中、すべての業種、そしてそこで働く人々が備えなければなりません。
まさに壊滅的低迷、国民が愛する百貨店業界が超ピンチ
図表1を見てください。これは全国百貨店売上高と旅行取扱状況の数字です。前回も指摘しましたが、コロナ以降は惨憺たる状況です。
まず、百貨店。1回目の緊急事態宣言が出た2020年4、5月は、百貨店は地下の食料品売り場だけを営業しているところが多く、前年同月比の売上高がマイナス60%以上でした。宣言解除後は少し持ち直しましたが、それでも2ケタの減少です。
10月だけマイナス1.7%と減少幅が小さいのは、2019年10月が消費税増税後に売り上げが落ち込んで大幅減少(2018年同月比マイナス17.5%)したからです。
コロナ禍のこの1年、地方都市では百貨店の閉店が続き、百貨店がない県も増えつつあります。そして、感染が拡大した2021年1月にはマイナス30%近い減少となり、収束するまではこうしたマイナス傾向は続くだろうと思われます。
百貨店を含む「小売業販売額」の数字もコロナの影響を受けていますが、百貨店の数字は小売業全体の数字とは比較にならないほど大きく落ち込んでいるのが分かります。