旅行代理店はGoToトラベル解禁後も、前年同月比マイナス50%以上
もっと大変なのは、旅行代理店です。「旅行取扱状況」の数字は観光庁が主要旅行代理店からの数字を毎月集計したもので、1回目の緊急事態宣言の時は、前年同月比マイナス90%を超えていました。その後、7月からGoToトラベルが始まり、減少幅が縮小しましたが、10月に東京発着のGoToトラベルが解禁になった後も、マイナス50%以上という状態が続いています。東京発着のGoToトラベルが解禁された後は、高級ホテルや旅館は大いににぎわいましたが、それ以外の宿泊施設などは大きな恩恵を受けなかったと言えます。
2度目の緊急事態宣言も大きく響いています。HISは香港のファンドからの資金調達で急場をしのいでいますし、KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト+クラブツーリズム)は債務超過に陥り、いずれにしても業界全体でとても厳しい状況が続いています。
冒頭で述べた通り、私は新型コロナウイルスの第4波襲来を強く懸念しています。飲食、イベント関連、百貨店、旅行関係、さらにそれらの会社に資材を提供する関連業種はとても厳しい状況がこの先も続く可能性が高いと言わざるを得ません。
経営コンサルタントが毎朝真っ先に日経の“ある数字”確認するワケ
私は毎朝、日本経済新聞に目を通しますが、このところ注意して見ている箇所があります。第4波を意識してからは、真っ先にそこを確認するほどです。
それは、「世界各国・地域の新型コロナ感染者・死者数」という表の「米国」の数字の「前日比」の数字です。つまり、毎日の増加数です。この原稿を書いている3月10日(水曜日)の前日の増加数は4万5277人です。私は感染症の専門家ではありませんが、数字から、感染の状況を把握し、将来を推測しているのです。
米国ではこのところ新規感染者は10万人を切っており減少傾向です。一時は20万人を超えていたのですが、ピークの半分から4分の1以下程度まで落ちています。しかし、とても低い水準とは言えません。米国では人口の約20%は1回以上のワクチン接種を終えたと言われていますが、それでもこの状況なのですから、現地の方は本当に大変です。
また、図表には累計の感染者数も出ています。最近、2900万人を超えました。米国の人口は約3億3000万人ですから、人口の約9%ということになります。感染者は一定の免疫を持っていると考えられます。ワクチン接種者と合わせて人口の30%程度になんらかの免疫がある可能性があります(※)。
※厚生労働省HPには、ワクチンに関して「ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社はワクチンを投与した人のほうが、投与していない人よりも、新型コロナウイルス感染症に発症した人が少ないとの結果又は中間結果が得られたと発表しています。臨床試験や接種が始まってから時間があまり経過していないことから、効果の持続期間については明らかになっていません」と記載している。
そうした中で、毎日4万~5万人程度の新規感染者が出ています。その数は減少傾向ですが、収束にはほど遠い状況です。
一方、日本の1日の平均新規感染者数は、このところ1000人前後です。累計感染者数は約44万人で、これは人口のわずか0.4%。米国に比べ、新規及び累計感染者数が格段に少ないのが分かります(にもかかわらず医療機関でベッド不足が叫ばれるのも不思議です)。
日本では医療従事者などへのワクチン接種が始まったばかりです。該当者は470万人程度で、これは人口の約4%にあたります。それに続いて、約3600万人の高齢者への接種が始まりますが、これは人口の約29%。高齢者への接種が終わった段階で人口の33%程度に接種が終わるということです。この高齢者への接種は、なかなか予定通りに進まない懸念もあり、早くても6月くらいまではかかるでしょう。