ほぼ集団免疫状態となった米英では2021年に入り、株価や景気が急回復している。一方、ワクチン接種率がわずか2.2%の日本は2月に3万円の大台に乗せた日経平均株価も現在はやや低迷。経営コンサルタントの小宮一慶氏は「米英では外出の制限も緩和され、イベントや外食などが通常に戻ってGDPを支える個人消費も増えていますが、ワクチン調達の遅れが響き接種率が低い日本の景気回復の先行きは暗いです」という――。
2021年に入っての株価の伸びは米英10%前後、日本2%
東京や大阪などでは3回目の緊急事態宣言が5月末まで延長され、東京オリンピック・パラリンピックの開催にも疑問の声が多く寄せられています。一方、米国ではNYダウが最高値を更新し続けています。日本でも、日経平均が一時は3万円を超える状況でしたが、このところはNYダウほどの勢いはなくなりました。
まず、そのあたりから見てみましょう。
図表1は、2020年1月からの日米英の主要株価指数である日経平均株価、NYダウ、FT100の推移を表しています。3カ国ともに同年3月にコロナの影響で安値をつけ、その後、回復しています。
2020年3月と2021年4月の数字を比べた場合に、実は日経平均の上昇率が最も高く、55%強上昇しています。次いで、NYダウの52%、英国のFT100は25%程度の上昇にとどまっています。英国が低いのは、やはりコロナの影響が深刻だったことに加え、EU離脱交渉が難航したことも影響しています。
一方、2021年1月と4月を比べた場合には、日経平均はわずか4%程度の上昇にとどまっているのに対し、FT100はその倍の8%強、NYダウにいたっては13%以上の上昇となっており、2021年に入ってからの上昇スピードに大きな違いが出ているのが分かります。
各国ともに、金融は大幅に緩和しており、金融緩和の影響というよりは、経済回復のスピードの違いが株価に影響を及ぼしていると思われます。株価はある意味、経済の体温計ですから、経済成長や回復の差も、株価に表れていると考えられます。そして、その差を生んでいる大きな要因は現状ではワクチンの接種率であると私は考えます。