米国・中国は「回復」、欧州・日本は「出遅れ」
東京に4回目の緊急事態宣言が出ました。7月23日に始まるオリンピック期間中も続くとのことです(8月22日まで)。飲食業や旅行業などの苦境は今後も継続することになります。結局、五輪前にコロナ感染の流行を止められなかった菅政権。この宣言が、日本の景気に対してどんな影響を及ぼすことになるか心底心配です。
図表1は2020年にコロナの影響が出始めて以降の、日本、米国、ユーロ圏、中国の実質GDP成長率です。実質ですから、インフレやデフレの影響を加味した数字です。
改めて認識させられるのは、コロナウイルスの影響のすさまじさです。
日本、米国、ユーロ圏では、2020年の第2四半期(4~6月)では、軒並み30%程度の大幅ダウンです。この数字は、前の四半期に比べての増減を年率換算した数字です。前の第1四半期(1~3月)もマイナスですから、さらにそこから大きく落ちたということです。
一方、ウイルスの震源地である中国は少し様相が違います。中国だけは四半期のGDPも前年同期比で発表されますので見方に注意が必要ですが、武漢が封鎖された1~3月期こそ-6.8%とマイナス成長ですが、図表1で見た日本、米国、ユーロ圏が大きく打撃を受けた4~6月期には、すでに前年比でプラスとなっているのです。前年の4~6月期もプラス6.2%でしたから、再び成長を取り戻したということです。
4~6月期の成長率もゼロ前後の見通し、日本だけが出遅れ
その後の成長ぶりは明暗が分かれました。7~9月期以降、米国と中国はプラス成長を維持する一方、日本とユーロ圏はプラス成長を保てていません。
とくに、直近の2021年1~3月期を見ると、米国と中国は比較的強い成長(中国は前年同期がマイナスなので成長率が大きく出る)しているのに対し、日本とユーロ圏はマイナスです。ユーロ圏ではこの頃、コロナの蔓延でロックダウンされた都市があったからです。
一方、日本は、ご記憶の方も多いと思いますが、首都圏はじめ関西圏など各地で緊急事態宣言やまん延防止等特別措置などが発出され、経済が大きく抑制されていました。
ただし、ユーロ圏では、今後発表される4~6月期は実質GDPでプラス5%程度の成長が予想されています。米国、中国も景気拡大が予想されています。一方、日本では、緊急事態宣言などが長引いたこともあり、4~6月期の成長率はゼロ前後という見通しが大半です。日本だけが出遅れる可能性があるのです。