回復著しい中国に比べ、のろのろ日本の景気回復は遅れるばかり
図表3はここ1年間ほどの日米英中4カ国の四半期ごとの実質GDP成長率です。日米英は、「前四半期比」の年率換算、中国だけは「前年同期比」の年率換算です。
驚くべきことは、中国の成長率です。2020年1~3月期こそ、中国武漢発のコロナウイルスのせいでマイナス成長でしたが、その後はプラスに転じています。先に説明したように、中国だけは、従来GDP成長率の発表を「前年同期比」で行っていますが、ウイルスの感染爆発が起こった直後の、2020年4~6月期から、すでに前年の同時期を上回る成長を回復したということです。
それに対し、日本をはじめとして、米国や英国は、コロナが本格的に拡大し始めた2020年4~6月期には大きくマイナスとなり、次の同年7~9月期には、前四半期比で計算するため、大きく戻すという状況でした。
10~12月期には、日本ではその前の四半期の戻りが鈍かったことと、10月から東京発着のGoToトラベルが解禁されたことなどで成長率が高くなっていますが、米国や英国はその前の四半期の伸び率がかなり高かったこともあり、伸びが鈍化しています。また、米国、英国ではこの時期感染が大きく拡大していたのに対し、日本の感染が米英に比べ、比較的抑え込めていたことも影響しています。
注目は、2021年の1~3月期の数字です。米国はワクチン接種が進んだこともあり、景気回復が顕著となり、年率で6.4%まで成長を戻しました。そして、中国は、なんと18.3%の伸びです。何度も言うように中国は前年同期比で前年の同時期がマイナス6.8%だったということもありますが、それでも、自国発のウイルスでありながら、対応が早く進んだことなどもあり、大きく成長したのです。
日本は、5月18日に1~3月期のGDP(速報値)が発表になる予定ですが、どのような数字が出るか注目されます。1月には一部地域に緊急事態宣言が出されましたが、景気指標を見ると3月は少し成長を回復しています。そして、今の4~6月は、コロナウイルスの感染が急拡大したこともあり、再度緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されたので、成長は鈍化していると考えられます。
いずれにしても、ワクチン接種率がスピードを伴って上昇しない限り、経済の本格的な正常化や復調は望めないと考えたほうがよさそうです。