図らずも20年12月の同時期、スコットランドでは自治政府のニコラ・スタージョン首相が「新型コロナの感染再拡大は旅行が原因」と会見で発表した。科学者チームがウイルスの遺伝子配列を解析した結果、第1波と第2波は別系統のウイルスによって引き起こされたことがわかった。ロックダウン(都市封鎖)によって1度は封じ込めに成功しながら、ロックダウン解除後の夏場以降に再び感染が広がったのは、イギリス国内に加え、ヨーロッパ本土やアジアから入り込んだウイルスが国内に広がったためと判明したのだ。

日本でも東大の研究チームなどがGo Toトラベルの利用者は利用しなかった人より新型コロナの発症リスクが2倍高いというアンケート調査の分析結果を発表している。Go Toトラベルと感染拡大の因果関係を示す直接的なエビデンスはないが、人の長距離移動が感染拡大につながるという研究報告は、アメリカのコロナ研究の総本山であるジョンズ・ホプキンス大学など国内外の研究者からも出てきている。

そうした研究報告に真面目に向き合っていれば、Go Toキャンペーンにいつまでも執着するわけがない。そんな予算があるなら重症者向けベッドの拡充、医療体制の強化、医療従事者のケアやバックアップに回すべきなのは自明。失業者や自殺者の増加にも無策の菅政権からは、国民の健康や生命を守ろうという決意も気概も感じられないのだ。

早くも噂されるポスト菅は誰か

今回の緊急事態宣言が長期化して解除が長引けば、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催にも大きく影響する。すでに国民の7割はオリンピック開催に懐疑的なのに、オリンピック利権に乗っかっているマスコミは皆知らん顔をしている。しかし開催国の感染拡大が収まらなければ、当然、開催はできない。仮に日本で感染拡大が抑え込めたとしても、諸外国で感染爆発が収まっていなければ、国民感情的にウエルカムとはならないだろう。

第3波が猛威を振るっているヨーロッパやアメリカでワクチン接種が始まっているが、これから感染拡大のピークを迎える国もある。コロナ禍で選手選考もままならず、選手団の派遣ができない国も出てきそうだ。