熱海、軽井沢、越後湯沢に動きあり

総務省が住民基本台帳に基づく2020年の人口移動報告書を発表した。東京都の場合、1年間トータルでは転入者が転出者を上回る「転入超過」だったが、転入超過数は前年から約5万人減って、日本で住民登録している外国人を含めて記録を取り始めた14年以降で過去最少の数字になった。月別に見ると7月から12月まで何と6カ月連続で転出者が転入者を上回った。

売却の検討が報道される電通本社ビル(東京都港区)。
売却の検討が報道される電通本社ビル(東京都港区)。(AFLO=写真)

地方創生をはじめとした政府の地方活性化策で予算を繰り返し投入しても是正困難だった「東京一極集中」の流れを変えるきっかけになったのは、やはり新型コロナウイルスの感染拡大だ。20年に初めて転出が転入を上回ったのは、最初の緊急事態宣言が発出された翌月の5月。テレワークの普及などの働き方の変化が影響したようで、7月以降は「転出超過」が続いた。

私自身、各地で人の流れの変化を肌で感じる。たとえば21年1月から私は熱海に新たな拠点を持ったが、バブル崩壊後は廃れて夜になると真っ暗だった熱海のマンション群に、ここ数カ月でより明かりが灯るようになった。熱海はコロナ前からインバウンド需要の拡大で近年は活気を取り戻していたが、コロナ禍でインバウンドが下火になっていたのに滞在者はかなり多い。事実、中心街にあるスーパーの駐車場は県外ナンバーの車が多い。地元の不動産屋によれば、住民票を移さないでウイークエンド(週末)用やテレワーク向けの物件を求める人が、20年8~9月辺りから急激に増え始めたという。