マイナンバーにもCOCOAにも不具合

2021年3月中に始まろうとしていた、マイナンバーカードの健康保険証としての利用が、3月末に突如先送りされた。厚生労働省によれば、先行して試験的に運用が始まった医療機関で、患者の情報が確認できないなどのトラブルが相次いでいることが理由。田村憲久厚生労働大臣は「安心して運用するために、本格的な実施は10月めどで計画をしている」と釈明した。

衆議院内閣委員会で答弁する菅義偉首相(左)と平井卓也デジタル改革担当相(2021年3月31日)。
衆議院内閣委員会で答弁する菅義偉首相(左)と平井卓也デジタル改革担当相(2021年3月31日)。(時事通信フォト=写真)

官製システムの不具合はマイナンバーにとどまらない。2月3日、新型コロナウイルス対策のスマートフォン向けの接触確認アプリ「COCOA」について、新型コロナ陽性者との接触通知が一部のユーザーに送られない不具合があったと厚生労働省が発表した。この不具合は4カ月余りもの長い間、放置されていた。

同アプリを巡って、政府は4月1日から運用の委託先を変更したが、関係する企業は従来の6社から7社に増えた。不具合の再発防止のために、業務体制の見直しを試みたが、関係企業を減らすことはできなかったのだ。

マイナンバーについては、3月31日の衆議院内閣委員会で、菅義偉首相がマイナンバー制度に関する国費支出の累計が、関係法成立後の過去9年で約8800億円に上ると明らかにした。立憲民主党の後藤祐一議員が「コストパフォーマンスが悪すぎるのではないか」と指摘すると、「確かに悪すぎる」と菅総理は費用対効果の低さを認めた。