コロナが収束しても、就職氷河期は続くワケ

コロナ禍の長期化で新卒採用を見送ったり、採用人数を大幅に縮小する企業が増えている。感染拡大の直撃で苦境が続く観光業や運輸業などは採用マインドが完全に凍てついて、旅行業界トップのJTBは社員の2割に当たる6500人の人員整理、国内店舗の4分の1に相当する115店舗を閉鎖するとともに、2022年度入社の新卒採用を見合わせると発表して、就活戦線に激震を与えた。HISや近畿日本ツーリストも、22年度新卒採用の中止を発表している。

就活ルール廃止に関して記者会見する中西宏明経団連会長(2018年)。
就活ルール廃止に関して記者会見する中西宏明経団連会長(2018年)。(時事通信フォト=写真)

就活生に人気の航空業界も採用を大幅に絞り込んでいる。ANAは毎年約3000人前後を新卒採用してきたが、21年度入社は600人程度の採用に抑え、22年度はさらに大幅に縮小して200人程度を予定している。JALは22年度の新卒採用の見送りを決めた。

JRと私鉄大手主要18社すべてが21年3月期決算で最終赤字になった鉄道各社も、新卒採用を縮小する方向で調整が進んでいる。

観光、輸送、飲食などのサービス業ならずとも、コロナ禍の直撃を受けた多くの企業が、21年度の新卒採用を抑制したため、過去10年上昇基調だった大学生の就職内定率は大幅に悪化した。コロナ禍の収束が見通せない22年度も引き続き新卒採用の抑制が見込まれていて、コロナ由来の「就職氷河期」到来を指摘する向きもある。