今後も続く、業界の壁を越える動き

正直、老舗の小売事業者がここまでやるのか、できるのかと、最初にサービスを利用したときは大きな衝撃を受けました。老舗企業でDXを大成功させた、デジタル化による価値上昇を最も体現している企業と言えるでしょう。

山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)
山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)

ウォルマートのサービスの拡充、業界の壁を越えていく動きは、これからも続くと見ています。たとえば先のロッカーサービスは、ロッカーではなく、乗り入れた自動車のトランクに、店舗のスタッフが詰めてくれるような。あるいはアマゾンが現在テスト段階にある、自宅前に停めてある自動車のトランクに配送してくれる、といった発展です。

アマゾンがベンチマークですから、同社がすでに提供しているサービスに近いことは、今後もまだまだ手がけてくると思いますし、どのようなせめぎ合いをしながらアマゾンと戦っていくのか、この流れはしばらく続くでしょう。

流れとしては、アマゾンがオフラインからオンラインに。ウォルマートもオフラインからオンラインに。顧客ファーストという共通の理念を掲げながら、2つの巨大企業が今後どのように戦っていくのか。2025年のフェーズでは、それなりの結果が出ていることは間違いありません。

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