世界一のスーパーであるウォルマートは、コロナ禍でも着実に売り上げを伸ばしている。ベンチャーキャピタリストの山本康正氏は「ウォルマートは歴史ある世界的な大企業でありながら、経営感覚は今どきで動きも速い。それはアマゾンと同じく、小売業に固執していないからだ」という――。
※本稿は、山本康正『2025年を制覇する破壊的企業』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
GAFAの経営手法を真似た「老舗スーパーマーケット」
新型コロナウイルスの影響で、小売業界は、営業時間の短縮、ソーシャルディスタンスを意識した利用者の人数制限などにより、ほとんどの店舗や企業で売上減、厳しい経営を強いられています。
そんな中、小売業界にありながら売上が問題なく、株価まで上げている企業があります。
ウォルマートです。ウォルマートのすごいところは、歴史も規模もある世界的な大企業でありながら、経営感覚はTikTokへの出資に大きな意欲を持つほど最先端で動きも速いことです。
ネットスーパー事業に着手したのは、アマゾンが急成長していた2006年ごろでした。シリコンバレーにオフィスを構え、データ分析やeコマース事業に強い人材やベンチャーを次々と買収、手を組んでいきました。
GAFAが自分たちの苦手分野をM&Aによって取り込んでいく経営手法を、老舗でありながら実行していったのです。その結果、大手老舗でありながら、その実はGAFAのような最先端企業のテクノロジーならびにサービスを備えていきました。
一方で他の小売事業者は、eコマースに進出するとリアル店舗と競合してしまう。店舗にお客さんが来なくなってしまうのでは、そのように考え、進出に二の足を踏んでいたのでしょう。