市民にしわ寄せが出る財源確保策しかない現実

一時的な税収不足の補塡ほてんは、減収補てん債、地方税の徴収猶予に対応する猶予特例債、それに加え民間資金の中で最も低金利な資金を調達する共同発行地方債などの発行を現在総務省でとりまとめ、一時的な資金不足を解消できるように躍起になっている。ちなみに減収補てん債の償還財源は発行額の75%が国から補塡される。

一方で、財政規律が緩まっている自治体の悲劇は来年度以降深刻になることは想像に難くない。そうでなくても、コロナ禍での自治体のコロナ対策の支出は大きく、財政的な圧迫要因になっている。元々体力のない自治体が多い中、これを機に慢性的財政難に陥るところも多くなるはずだ。そうなると、間違いなく市民生活にも大きな影響を及ぼす。

たとえば、京都市ではすでに市バス料金の値上げや減便の検討、公共事業の縮小、市民サービスの見直しと市民生活にしわ寄せが出る財源確保策が模索されている。

地方が生き残る道はあるか

ちなみに、京都市の令和3年度予算の財源不足500億円のうち、コロナ禍による臨時的・一時的な財源不足は150億円で、残りの350億円は慢性的な財源不足によるものだ。

臨時的・一時的な財源不足は、大型工事の一時凍結や職員給与の時限的なカット、市有財産の売却など、市民サービスへの影響がない範囲で対応することが可能だが、慢性的な財源不足はそう簡単ではない。

暗いトンネルの中にカラフルな蝶
写真=iStock.com/fcscafeine
※写真はイメージです

職員給与表、手当の見直しや残業の削減による人件費の圧縮、公共工事の簡素化や中止、全事業の必要性の見直しによる大幅な削減、民間資金の活用など、反対を押し切って断行する強いリーダーシップが必要で、多少の痛みは伴うが、それでも断行できれば最悪の事態は回避することができる。

「先送り」の先の「地獄」

問題は日に日に悪化をし続けており、後年度へ送れば送るほど、余裕がなくなり、ハードランディングにならざるを得ない。

厳しいコロナ禍における自治体の財政運営だが、京都市のように「ゆでガエル」状態になる前に、少しでも早く取り組み、市民生活への影響を最小限にとどめる手を打たねばならない。

手遅れ寸前の京都市であれども、筆者は長年市議として問題提起を続けてきた立場から、今後も危機打開を模索するため活動を続ける覚悟でいる。そして、「まだ間に合う」全国の自治体に住む読者諸兄に警鐘を鳴らす次第である。

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