2020年に米・旅行雑誌『コンデ・ナスト・トラベラー』の“世界で最も魅力的な都市ランキング”第1位に選出された京都市。だが、コロナ禍を経て様相は一変。財政の悪化で「財政再建団体」入りのリスクが報道され、2021年度の市の決算も85億円の赤字と危機が続く。さらに2年連続で人口減少数日本ワースト1になったというから穏やかではない。長年、市政改革を訴えてきた前京都市議で大正大学客員教授の村山祥栄さんが語る京都市の実情とは──。

2年連続人口減少数ワースト1…

今、日本を代表する歴史文化都市・京都に黄信号が灯っている。

2020年には、「京都市財政破綻の危機」というニュースが全国を駆け巡り話題になったが、今度は2年連続人口減少数ワースト1という残念な事実が突きつけられている。

コロナ禍前までは「オーバーツーリズム」といわれるほど多くの観光客でにぎわい、京セラをはじめ、任天堂、日本電産、村田製作所、島津製作所、ワコールなど名だたる大企業が本社を置く京都が、日本最下位とはいったいどうしたことか。

新型コロナウイルス感染拡大で観光客が減った京都・清水寺に続く参道
写真=iStock.com/Travel Wild
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地元紙一面「京都市の人口 日本一減った」の衝撃

昨今、人口減少というキーワードが地方自治にとっての最重要ワードになりつつあり、毎年総務省が発表する人口動態に年々注目が集まっている。

だが通常、人口増減については「率」で語られることが多い。率で見た場合、人口の少しの変動が大きな比率になる小規模自治体が中心になるため、あまり注目されてこなかった。ちなみに人口減少率ワースト1はここのところずっと、財政破綻した北海道・夕張市だ。

しかし、注目してもらいたいのは増減率ではなく、増減“数”のほうである。

人口統計を追いかけてくる中で、2020年の人口増減ランキング(総務省)で京都市がワースト1になったという事実に驚き、YouTubeをはじめあちこちでこの話をしてきた。すると今年の8月28日、京都新聞の一面に「京都市の人口 日本一減った」という記事が掲載され、たちまち多くの人の知るところとなった。