「住むとこない」「働くとこない」の京都

もう1つの社会減の原因は、周辺都市への若者世代の流出だ。

大別するとその流れには2つあり、1つは京都大学を筆頭にした難関大学の卒業生の受け皿となるべき企業が少なく東京、大阪に流出するケースだ。

先述の通り、地方都市としては大企業が多いのが京都だが、京都企業の特徴は製造業に偏っている。また、京都の大学から輩出される人材を抱え切れるほどの企業数ではない。そのため卒業生の流出が続いている。

もう1つは京都市内の地価高騰で街中での住宅購入が難しいため、地価の安い周辺に人々が流れていっている。都市部にありがちなケースだ。

京都市としても、後者に対する問題意識は高い。街中の空き家をできるだけ減らし、住宅を流通させ、地価の高騰に歯止めをかける目的で2022年に「空き家税」の導入を決定したが、これも、このような人口減少対策の一環である。しかし効果は不透明で、決定的な手を打てずにいる。

住んでいた住民が京都を去り、新たな流入が見込めないというのは、都市として非常に残念な事態だ。だが、これらの社会減については、自治体の戦略次第である程度抑えることはできるだろう。

人口減少の波が大都市を飲み込む日

次に自然増減を見ていこう。

出生数 8950人
死亡数 1万6032人
自然減数 -7082人

問題はこの自然減で、死亡者が出生者を7000人以上上回るという、人口減少の本質的課題がある。

考えてみれば、これは起こるべくして起こる事象でもある。

京都市は、以前からほかの大都市に比べて高齢者比率が高い(つまり、高齢者が多い)街として知られており、大都市の中でかなり早い段階で自然減に直面することはわかっていた。

併せて、京都府は出生率が全国の中で東京に次いで2番目に低い(これは大学生の数が多いからという理由もあるのだが)。つまり、日本で2番目に子どもが生まれない街で、高齢化が進んだ大都市という“ダブルパンチ”でこうした結果となったわけだ。