2020年以降、人口減少の大波が自治体を飲み込んだ
ただ、これは京都市だけの課題ではなく、全国の自治体を襲う大きな問題でもある。
これまでのトレンドからいえば、京都市同様人口減少が加速している政令市は北九州市、神戸市、静岡市、新潟市などが挙げられ、政令指定都市は福岡市、川崎市、さいたま市など人口が増え続ける都市と急激に減少している都市との二極化が進んできた。
しかし、2022年に突入して、自然減を社会増で補ってきたそれら中間的な都市までもが人口減少の波に飲まれている。その結果、大阪市や名古屋市、広島市などが突如人口減少数ランキングに名を連ね始めている。
この問題は手の打ちようがない分、実に深刻だ。高齢者の死亡を阻止することは不可能であるのと同時に、出生率を極端に引き上げることもとうてい現実味のある話ではない。
2022年はついに、「東京一極集中」といわれ続けた東京、そして首都圏すらも人口減少に転じた。これについての詳細は長くなるので割愛するが、こうした人口減少時代の洗礼をもろに受けているのが京都市ということであり、このトレンドは、今後しばらく京都を悩ませる最大の課題になりそうだ。
都市計画を根底から狂わせる人口減少の影響
人口減少はあちこちに綻びをもたらす。
京都市が財政難になった一因として挙げられる地下鉄東西線建設にしても、そもそも145万人だった京都市民が160万人になるという前提で計画が進められた。15万人も下振れすれば収支が合わなくなるのは自明の理だろう。
このように、都市の計画は想定人口をベースに設計されており、こうした状況下では京都市が今後見込んでいる税収増の計画をはじめ、さまざまな計画目標の達成も難航することが予想される。
生産年齢人口の低下は、とりわけ中小企業の採用をより深刻なものにさせ、企業の成長を著しく阻害する。
内需向けビジネスは市場の縮小に伴い、より大きなマーケットへの移転を加速させ、労働者もまたよりよい労働環境を求めて街を去る。残されるのは高齢者ばかりで、高齢化がさらに加速する。
その結果、空き家や空きテナントが増え、地価は下がり、街の活力が奪われる。これらの現象はすでに人口減少が著しい地域が直面している課題であり、この負のスパイラルから抜け出せず、状況をさらに悪くさせる。