「コロナ禍支援ができなかった」京都市の悪夢
本年、緊急事態宣言下の5月に休業要請をした事業者に対し、全国の自治体が予算を絞り出し、大阪府下や兵庫県下では休業要請協力金100万円を支給、京都府下では40万円(府20万円、市町村20万円負担)を支給した。
にもかかわらず、京都市だけは1円も拠出できず、府からの協力金20万円しか支給されないという事態に陥った。
京都市がコロナ禍で「お金がない」といって機動的な支援策を打てなかったのは、「有事」のために貯めておかないといけない財政調整基金が、この年度に全額取り崩して枯渇していたことに起因する。
全国で1兆円取り崩された「自治体の貯金」
この財政調整基金の取り崩し、わかりやすくいえば「自治体、貯金なし問題」は今、地方を襲う深刻な課題となっている。
コロナ禍ですでに日本全国の自治体で取り崩された財政調整基金の額は1兆円を超えており、貯金が底を尽きる自治体が続出している。今年京都市で起きた悲劇は来年以降あちこちの自治体で起こりうることなのだ。
そもそも、財政調整基金というのは、収入が例年を上回った時に積み立て、収入が不足する年や災害などの有事の際にそれを放出し、財政の均衡を図るという目的で作られた制度で、それ以外の目的に支出するのは本来御法度だ。