京都市が夕張市以来の「財政再生団体」転落可能性

福岡市では市税収入の減少を160億円見込み、景気による税収減の対応として認められている「減収補てん債」を活用しても100億円の財源不足となり、市の貯金である財政調整基金の取り崩しを極力抑えたい方針から、事業見直しを急ピッチで進める。

横浜市では970億円の財源不足、川崎市では307億円の収支不足と政令市でも百億円単位の財源不足がいわれている。

最も深刻なのは、財政計画が形骸化されてきたわが街・京都市で、2033年度まで毎年予算が340億~500億円不足し、2028年には夕張市以来の財政再生団体に転落する可能性が示唆された。財政再生団体になると、予算編成の主導権は総務省に移り、市が独自で行っている施策はすべてストップしなければならず、まさに市民生活に大混乱をもたらす。

実態は「119億円の赤字」?

なぜ、京都市は「財政再生団体への転落」という可能性が出てきてしまったのか。

まず、先に断っておくが、京都市は元々、全国の中でも最低レベルに財務状況が悪い。令和元年度の京都市の決算発表も4億円の黒字という報告がされているが、実態は無理やりお金を絞り出して作り上げた“虚像”だ。

コロナ禍になる前から予算は慢性的に不足し、2019年度は、「財政調整基金」と呼ばれる貯金を全額(39億円)取り崩し、それでもなお不足する財源を、「特別の財源対策」と呼ばれる“禁じ手”を駆使して84億円を補う体たらく。実態は、差引で119億円の赤字だ。