CAならやはり競合他社のCAでの副業や、接客・サービスの職種の副業先しかないと考えがちです。しかし、実際は決してそうではありません。専門性の高い職種の場合でも、他の業種から見れば活かせるスキルはたくさんあるからです。

元CAの方々が転職や独立で活躍されていらっしゃる領域に「研修講師」があります。仕事柄、マナーやお作法を熟知していることや、おもてなしのスキルが高い人が多いからですが、そうしたスキルを社員に学ばせたい企業からのオファーも多いというわけです。

企業内の職種であれば、きめ細かく、臨機応変に行動するスキルがあるため、秘書や営業事務でも大変重宝されます。また、人と接することに喜びを感じる方々が多くいらっしゃるような職種でもあるため、ホスピタリティが求められる分野は非常にマッチするでしょう。他人の気持ちの機微や求めていることを考えることに長けている人も多いため、相手の気持ちに立って次の打ち手を考えていくことが必要となるEC関連の職業や企画営業職に就く人もいます。

地方都市が副業人材を求める切実な理由

一方、ソーシャルベンチャーに興味を持つ人であれば、地方都市で能力を発揮することも検討してみるのが良いかもしれません。

「マイクロツーリズムをやりたいがどう手を付けたらいいだろうか」「インバウンドの観光に頼ってきたが減ってしまった。今やるならどんなツアーがいいか」「移住者を集めたいが何をしたらいいのか」——現在、地方都市では、人口減少が深刻な課題となる中、観光や関係人口(特定の地域に継続的に多様な形でかかわる人のこと)の創出などに力を入れたいものの、どうすればいいかと悩んでいる自治体が少なくありません。

ここでも、CAの知見が役に立ちます。CAはさまざまな都市に明るく、客観的にその都市が持つ魅力を捉えることができるため、「地方都市にとってその能力は非常に魅力的に映るのです。

地方自治体でも、都心部から流れてくる人材を活用したいという動きがあります。9月には、神戸市がPR人材の募集を行いましたが、求める人材を「副業として関わりたい人」に限定しました。

フリーランス協会にも、コロナを機に、フリーランス・副業人材を活用して地域企業を活性化していきたい自治体からの相談がこれまでよりもさらに多く寄せられるようになってきました。

その中の1つである静岡市とは、フリーランス・副業人材の活用を通じて静岡市内の企業が多様な人材活用に挑戦し、コロナ禍を生き抜く事業変革やイノベーションを実現することを狙いとした連携協定も締結されています。

こうした動きの理由の一つに、労働人口の減少に伴い、地方企業が正社員を獲得することの難易度が上がっているという背景があります。

しかし、それ以上に、他社や他の自治体で出ている現在進行形の動きを知っている人に来てほしいというのが、副業人材受け入れの最も大きな理由でしょう。

たとえば10年前に大手の旅行会社にいた人より、現役のCAのほうが新しい情報を持っていることは間違いありません。それに、副業という形で募集すると、プロ人材として部課長レベルの知見を持つ人も流れてくるため、そこに期待をしているのです。