「感染予防策は適切なのか」。そう言ってしつこく問い合わせてくる顧客は何を考えているのか。大手住宅設備メーカーの顧客対応部門に約20年勤務してきた酒井由香氏は「自分自身は正しいという思い込みが背景にある。ボタンの掛け違いを丁寧に正せば友好的に話を終えられる」という――。
オフィスのコールセンター、デスクトップのキーボードの近くにある医療用マスク
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「感染予防対策は適切なのか」お客様相談室への電話

始業直後のアパレルメーカーのお客さま相談室に、前日、直営店へ来店したという女性客からの電話が入った。

「店頭で『適切な感染予防対策を行っている』という掲示をみた。換気の時間は何分おきなのか? 消毒のタイミングは? 使用している消毒薬剤は何?」など、具体的な対策内容についての質問が続く。

応対しているコミュニケーターは、準備された資料に基づき回答しているが、女性の態度が徐々にヒステリックになっていき、

「なぜその対策が正しいと言えるのか?」
「本当に行っているのか?」
「こういった方法の方が効果的らしいから変更したら」

と執拗に食い下がる。

また、「何度も同じような質問が繰り返される→回答する」というループに陥り、長時間の対応を行うこととなった。