明らかな人身事故なのに、警察官から「物損事故の処理でいいですか」と言われた男性がいる。なぜそんなことになるのか。男性を取材したジャーナリストの柳原三佳氏は「交通ルールを守っても事故に巻き込まれ、事故原因や過失で理不尽な認定をされることがある。わが身を守るためにドライブレコーダーを装着するべきた」という——。
数人の警察官
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです

バイク衝突事故の決定的瞬間

まずは、この映像を見てほしい。

事故時の静止画像

国道を直進する1台のバイクに、後ろからかなりのスピードで別のバイクが迫ってくる。次の瞬間、2台のバイクが接触。そのはずみで、接触された前方のバイクは左側に転倒し、ライダーは路上に投げ出される——。

その後、現場には救急車が到着し、映像には自力で動くことのできないライダーが担架に乗せられて搬送されるまでの一部始終が記録されていた。

転倒したAさん(50代・男性)が後続車にはねられなかったのは不幸中の幸いだったが、Aさんはこの事故で、左血肺、左肺挫傷のほか、鎖骨や肋骨、腕や足の骨など、計7カ所を骨折する重傷を負い、そのまま長期の入院を余儀なくされることになった。

一方、後ろから走ってきたBさんは、転倒を免れたためけがはなかった。

バイク同士のこの衝突事故は、2017年9月、埼玉県内の国道で発生した。紹介した映像は、Aさんのすぐ後ろを走っていた仲間のバイクに装着されていたドライブレコーダーが偶然とらえたものだった。