政権交代前の民主党との既視感に高揚感はゼロ

「1つの終止符をここで打ち、新たなスタートを切っていける前向きな結論を導きたい」

国民民主党が8月19日に開催した両院議員総会で、玉木雄一郎代表はこのように力を込めた。2018年5月の結党からわずか2年半。政党支持率が1%程度だった同党は、立憲民主党との新党に解党したうえで合流する案を賛成57、反対2の賛成多数で可決した。率直に言えば「コロナ禍で大変な時にこのセンセたちは何をやっているんだろう。今、それか?」という感じだろう。

自分たちはなぜ議員バッジをつけることができ、政党支持率が限りなく0に近かったのかという反省も検証もない。そもそも建前である安倍政権に対抗する「大きな塊」にも疑問がある。議席数だけを見れば、野党第1党の立憲民主党は89人(衆議院議員56人、参議院議員33人)、国民民主党は62人(衆議院議員40人、参議院議員22人)で、たしかに「塊」にはなる。全員が新党に合流して野田佳彦元総理や岡田克也元副総理ら無所属議員約20人も加われば、その規模は計算上では160人を超える。100人超の衆議院議員というのは政権交代前の民主党と同規模で、それなりのインパクトがあるはずだ。だが、今回は期待感も高揚感もない。そこにあるのは既視感だけである。

意思決定すらできない絶望感

そもそも玉木氏が正式な党首会談を立憲民主党の枝野幸男代表との間で行うこともなく、合流提案した進め方は不可解だ。企業合併に例えれば分かりやすいが、代表取締役抜きで進めるなんて怖すぎるだろう。それを提案しておきながら、玉木氏や古川元久代表代行は新党に参加しない点も意味不明だ。旧民進党の前原誠司代表や増子輝彦幹事長らも相次いで不参加を表明しており、その分かり難さが期待感、高揚感をそいでいる。

元々は同じ民主党、民進党の仲間だったにもかかわらず、いざ再結集するとなれば1つの旗の下にまとまることすらできない「民主党のDNA」を強く感じさせる。そう、重要局面で党内政局ばかりが注目された民主党時代から何ら進化していないのである。それが「帰ってきた民主党」と揶揄されるゆえんである。