新型コロナ感染症の感染者数が増加傾向をたどっているが、国による対策の根拠である新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)は全国一律の対応を求めるなど実態に沿った内容とはいえない。特措法改正のために今すぐ臨時国会を開くべきだと橋下徹氏は論じる。プレジデント社の公式メールマガジン「橋下徹の『問題解決の授業』」(8月4日配信)から抜粋記事をお届けします。

アクセルとブレーキは「虫の眼」の地方に渡すべきだ

新型コロナ感染症の感染者数の増加傾向が止まらない。各地方の首長たちは危機感をあらわにしている。自治体の中には、ピンポイントの地域に絞って休業要請をかけたり、特定の業種について営業時間短縮の要請をかけたり、地域限定の独自の緊急事態宣言(法に基づくものではない)を検討したりするところが出てきた。

(略)

今、日本という国家において政府と自治体の認識とそれぞれがやっていることがバラバラで、国民にとっては訳が分からない状況だ。特に、国家としてのメッセージにまったく軸が見えない。

そして日に日に感染者数が増加していく報道だけが溢れかえる。

このような状況になる原因と、そして政府はどのようにして国を動かして対処していくべきかについては、本メルマガVol.208(【菅義偉官房長官を直撃】「Go To トラベル」大混乱! 国は財源を用意し、地方に権限と責任を譲るべきだ)で詳細に論じた。

国会議事堂
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです。

やはり、そのメルマガで論じたように、《国は「鳥の眼=マクロの視点」で国全体の方針を示し通貨発行権に基づいて金の用意をする。感染症対応のための社会経済活動を抑制したり再開したりするアクセル・ブレーキのコントロールは「虫の眼=ミクロの視点」を持っている地方に任せる》というやり方しかない。

そして日本は法治国家である以上、法に基づいて国家を動かさなければならないのであるから、ただちにこのやり方を実行するための新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)改正を行うべきである。特措法改正のためには、当然国会を開かなければならない。