立憲も国民も解党して金を返納すべき
そして、人々を白けさせる3つ目の理由はずばり「カネ」と「身分」だ。2014年6月、環境相を務めていた自民党の石原伸晃元幹事長は原発事故の除染で出た汚染土などを保管する中間貯蔵施設の建設について「最後は金目でしょ」と不適切な発言をして撤回と謝罪に追い込まれたが、今回の合流劇を見ると、その言葉を思い出させる。
玉木氏は8月12日のBSフジ番組で、国民民主党に約50億円の政治資金があるとしたうえで「新しい党をつくるために資金も必要だ」と語った。政治資金収支報告書によると、2018年の国民民主党の繰越金は約108億円、立憲民主党は約18億円。河井克行前法相夫妻の公職選挙法違反事件を見るまでもなく、政党のカネは選挙時に大きく動く。選挙基盤が弱く、資金力もない議員にとっては喉から手が出るほど欲しいものの1つだ。
同党幹部は新党合流組と玉木氏ら「残留組」の議員数に応じた配分が行われる可能性を示唆しているが、「おいおい、それって国民が汗水垂らして納めた税金も原資になっていますよね」と喝を入れたくなる。「山分け閉店セール」みたいに次期総選挙時にバラまくことなんて考えずに、立憲民主党も国民民主党も解党して国庫に返納するのが筋だろう。玉木氏は「お金をめぐって内ゲバすることがあれば国民から見放される。そんなことをするなら全額国庫に返した方がいい」と語ったが、そもそも「俺のカネ」みたいなことを言わずにはじめから全額返納し、コロナ対策のために活用すべきだ。この点だけは政党交付金を受け取っていない共産党に学んでほしい。
国民無視の“先生たち”に国は救えない
旧民主党の面々で残念なのは、総選挙の足音が近づいてくると、自らの議員バッジを維持するための言動ばかりが目立つことだ。それは「職業としての政治屋」の姿に映る。国民民主党の衆議院議員のほとんどは2017年の総選挙で民進党大敗が予想される中で、勢いのあった小池百合子都知事の「希望の党」に急遽参画した人々だ。その看板で小選挙区では敗北しても比例代表で復活当選できた議員も多い。そもそも今ある議席バッジは「旧民主党」で得られたものではないのである。
時事通信が2019年12月12日に配信した記事によると、当時の立憲民主党と旧希望の党を1つの政党に見立てて比例議席を試算した結果、旧希望側の議席は32から54に大幅増となるのに対し、立憲側は37から20に激減するという。この点は立憲側のメリットが大きく、豊富な国民民主党の資金力や組織にも魅力を感じているようだが、国会議員という身分にしがみつくような姿はあまりにも格好悪い。国民の目にどのように映るかという視点すら欠けたセンセたちに、コロナ禍で困窮する国民を救えるのか。