ツイッターには「ミソジニスト」と呼ばれる女性嫌悪に満ちたアカウントが存在する。彼らはなぜ女性に怒りを抱いているのか。性問題の解決に取り組んでいるホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾氏は、「彼らは抽象概念としての『女性』に対して怒りを抱いている。この怒りは大きく分けて6つある」という――。
※本稿は、坂爪真吾『「許せない」がやめられない』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
ネット上で存在感を強めるミソジニスト
今の日本は、男性差別に満ちている「女尊男卑」社会である。
いきなりそう言われても、あなたはとても信じられないかもしれない。
男女間の収入格差、家庭内における女性の家事・育児負担率の高さ、管理職・国会議員の女性比率の低さなどを見ても、現在の日本社会が男性優位社会であることは、火を見るより明らかだ。
そして、「女性差別が許せない」という怒りの声は、今日もメディアやSNSのタイムラインを賑わせている。
男女平等を重んじるリベラルな価値観を持った人が集まる家族や職場、同僚やクラスメートに囲まれて暮らしている人にとっては、「女尊男卑だって? どこの国の話だよ」と肩をすくめたくなるにちがいない。
しかし、あなたの生活や仕事とは全く接点がない領域、あなたのタイムライン上には決して表示されない情報空間の中で、「今の日本は男性差別が公然と行われている『女尊男卑』社会であり、男性はあらゆる場面で女性から虐げられている」と信じている人たちは、確実に存在している。そしてネット上における彼らの存在感は、日々強まってきている。彼らの主張を、統計的・学問的な事実を提示して否定することは、きわめて容易である。しかし仮にそうしたところで、彼らは自らの信念を曲げない。その背景には、女性に対する嫌悪や蔑視(ミソジニー)に基づく怒りがあるからだ。