「フェミニストが諸悪の根源」と思っている

6.「フェミニストの陰謀」が許せない

女性の既得権益の構造を周到に作り上げ、男性を搾取し続けている諸悪の根源が、フェミニストである。

フェミニストは、「日本社会に女性差別が根強く残っている揺るぎない証拠」としてジェンダー・ギャップ指数(153カ国中121位(※1))だけを取り上げて、他の指数や調査を全く見ようとしない。

※1……世界経済フォーラム(WEF)が各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)」で毎年発表している指数。対象となる世界153カ国が「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワメント」の4種類の指標を基に格差を算定され、ランキング付けされている。2019年のランキングでは、日本は過去最低の121位となった。

ジェンダー不平等指数(※2)(2018年)を見れば、日本は162カ国中23位の上位国である。世界価値観調査(2010~2014年の平均)では、男女の幸福度差が世界で1位(女性の方が幸福)であり、2018年に行われたUSニュース&ワールド・リポートの調査「女性が最も生活しやすい国」では、80カ国中17位にランクインしている。

※2……ジェンダー不平等によってその国の人間開発にどれほどの損失が生じたと考えられるかを測る目的で、国連開発計画(UNDP)が2010年から用いている統計的手法。リプロダクティブ・ヘルス、エンパワメント、労働市場への参加、の3側面において、5つの指数(妊産婦死亡率、15~19歳女性1000人当たりの出生数、国会議員の女性割合、中・高等教育への男女進学率、男女の就労率)に基づきジェンダー不平等を数値化している。

こうしたデータがあるにもかかわらず、メディアではジェンダー・ギャップ指数を嘆く記事だけが溢れている。

「許せない」と叫ぶ人たちは論破しても意味がない

そもそもジェンダー・ギャップ指数は、女性が自発的に行動している国ほど上位になる。

121位と低い日本人女性は反省し、何でもかんでも男のせいにする前に、自らの努力不足を恥じるべきだろう。

ここ数十年間は、フェミニストによるこうした印象操作が功を奏して、女性の利権が増える一方で、男性に対する社会的な差別や搾取の圧力は強まっている。許せない……!

こうしたミソジニストたちによる主張を、統計的・学問的事実を基に論破することはきわめて容易である。彼らが抱く「女性の既得権益が許せない」という怒りを因数分解することによって見えてくるのは、「女性とは何者であるべきか」について、彼らが抱いている性規範と願望だけである。

しかし、SNS上で論破したところで、彼らは自らの考えを決して変えない。

むしろ批判されればされるほど、彼らは「ほら見ろ、やっぱり女性を公の場で批判すると、こうやって四方八方から攻撃を受ける羽目になるんだ」「やはり自分たち男性は差別されている」とさらに被害者意識を強めていき、女性に対する怒りをより激しく燃やし続けるようになるだけだ。男性の中に巣食うミソジニーは、女性から批判されればされるほど、強化される。