「新型コロナ石碑」を絶対残すべきだ

ちなみに、疫病平癒の霊力を持つ「アマビエ」が瓦版(天変地異や市井の事件・自己などを伝える印刷物)に登場したのが、1846(弘化3)年のこと。肥後国(熊本県)の海に現れて、「当年より6カ年は諸国は豊作になるが、病が流行る。早々に私の写しを人に見せよ」と言い残して海中に消えたとの逸話が残る。アマビエは、伝染病予防と犠牲者の供養を願って、登場したキャラクターだ。くしくも予言通り、安政のコレラはアマビエ登場の8年後に流行した。

現在、アマビエはコロナ禍において注目され、商品化されたり、SNSで広がったりしている。過去の感染症にまつわる教訓が、150年以上経過して「癒やしのキャラクター」として現代社会に再び活かされた例であろう。

江戸時代末期に登場したアマビエ
『新聞文庫・絵』(京都大学附属図書館所蔵)部分
江戸時代末期に登場したアマビエ

寺や地域に残る古い記録はいま一度、見直されるべきだ。そして、コロナ感染症終息後は、誰もが常に目にすることのできる石碑などのモニュメントを立て、供養を続けることで後世に伝え続けることも、寺の大切な役割だと感じた次第である。

【関連記事】
コロナ禍でラブホテルが特殊清掃業者に教えを乞う深い理由
京都人が「祇園祭だけは、やめるわけにはいきまへんやろ」と話す深いワケ
コロナ禍で急増「Zoomお葬式」に僧侶がいい顔をしないワケ
歴史が教えてくれる新型コロナの意外な"終わり方"
「西では極悪人、東では神様」平将門にみる日本人の歴史感覚