「売上高は12%増」
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「売上高は12%増」

明菓、明乳の統合は、リストラとシェア拡大によって短期的に利益を拡大し、既存市場の中で生き残ろうとする統合とは真逆の統合なのだ。異なる得意技を掛け合わせて新しい市場を創造する前向きの統合、夢を膨らませる統合なのである。

世の中全体がシュリンクムードにある中、なぜ明菓と明乳がこうした“明るい統合”を志向できたのかといえば、それは一にかかって両社の企業理念にある。両社が社会に貢献するという企業理念を確固として持っていなければ、おそらくこの統合はなかった。利己より利他を志向することで市場の閉塞感を打破していこうという発想は、競争に勝つことだけが至上命題とされる世相の中で、やはり一筋の光明である。

(永井 浩=撮影 ※肩書は取材時のもの)