子育てをめぐる2つの対立

<strong>資生堂副社長 岩田喜美枝</strong>●1947年、香川県生まれ。旧労働省入省。2001年雇用均等・児童家庭局長。退官後04年資生堂CSR部長。08年より現職。
資生堂副社長 岩田喜美枝●1947年、香川県生まれ。旧労働省入省。2001年雇用均等・児童家庭局長。退官後04年資生堂CSR部長。08年より現職。

女性社員同士の対立は、子育てをめぐるもの、人材教育を十分に受けられたかどうか(均等法後の世代かそれ以前の世代か)によるもの、そして年齢の違いによるものの大きく3つが考えられる。

ここでは、現在大きな対立軸になっている子育てにスポットをあてて考えたい。この対立軸には2つのパターンがある。ひとつは、子供のいる女性対いない女性、もうひとつは過去に育児をした女性対現在子育て中の女性だ。

ひとつ目の対立の場合、子供がいる女性は「子育ての大変さが周囲から理解されていない」と感じている。片や子供のいない女性は、社会も企業も子育て支援策を積極的に展開するなかで、自分たちにはスポットライトが当たらず、しわ寄せが自分に及ぶばかりだと感じている。しかも、たとえ自身が親の介護に直面して大変な思いをしていても、子育てほど支援策が整備されていないのが現状だ。

次に子育て過去形の女性と、子育て現在進行形の女性の対立の場合、“過去形”女性は、支援策がないなかで努力して乗り切ってきたため、「今の人たちは支援策に甘えている」と感じる。一方の“現在進行形”は、子育てを経験している先輩社員は一番の理解者だと思っていたのに、思いのほかの厳しさに戸惑いを隠せない。