新型コロナウイルスの影響で自宅での「巣ごもり消費」が広がり、ゲーム関連企業には“コロナ特需”が起きている。任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」は、日本製品の不買運動中の韓国を含め、世界的に在庫不足となっている。フリマアプリのメルカリや、アマゾンで、新品・未開封のスイッチが、定価3万2978円(税込み)の3倍の高値で売買されるケースや、4台セット21万円などの明らかな転売が横行し、インターネット上ではスイッチ転売のやり方「まとめサイト」までも存在する。任天堂は4月14日には出荷再開の見通しが立ったとしているが、いまだ、在庫不足が続く。人気アナリストの馬渕磨理子氏は「たしかに世界的にスイッチの爆買いは起きていますが、そのほかにも任天堂にはこの現状を素直に喜べない事情がある」と解説する。任天堂に一体、何が起きているのか。
急に来た正月、巣ごもり消費「特需」
新型コロナウイルスの感染拡大で外出制限され、消費者の感覚はまるで「急に来た正月」の様相を呈しています。それに連動して、ゲーム関連や動画配信サービス企業などのサービスが「巣ごもり需要」で爆発的に膨らんでいます。もちろん、多くの人々が自宅および室内で過ごす時間が増えているためです。任天堂はiPhone用にも人気の高いゲームタイトルをラインナップしており、それも大きな収益源にはなっていますが、専用コンソール(ゲーム機本体・ハード)向けのゲームの需要も根強いです。ゲーム誌『ファミ通』が発表した3月の国内家庭用ゲームソフト・ハードの売り上げデータによると、任天堂の主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売台数は83万台超で、昨年の年末商戦の約113万台に次ぐ規模となり、前年同月からは実に2.8倍となっています。
また、スイッチの場合、3月に発売された人気シリーズ「どうぶつの森」の最新作『あつまれ どうぶつの森』(あつ森)が、10日間で約260万8000本を売る大ヒットとなったことも、ハード需要の押し上げにもなりました。“あつ森”自体も巣ごもり需要の恩恵を受けており、過去のシリーズは発売1週目の販売が50万~70万本だったのが、今回は180万本超と大きく伸長しています。ゲーム業界は1本のヒットで爆発的な収益を記録するなど、売り上げの予測が難しい業界です。さらに今回は、新型コロナウイルスによる特需が追い打ちをかけ、世界的に品薄状態が続いています。