「あなたが尊敬する歴史上の人物はだれですか」。雑誌「プレジデント」(2020年3月20日号)の特集「日本史学び直し」では、各界の著名人にこの問いをぶつけました。特集の中から、「織田信長」をあげた出前館の中村利江社長のインタビューをお届けします――。
織田信長(1534~1582)
戦国時代を終わらせ、天下統一を果たした天才。貪欲な情報収集と腹心の活用が偉業達成のカギだった。

既存のルールを壊し新しいシステムを打ち立てた

子供のころ、父の書棚から歴史関係の本を引っ張り出して読んだのが織田信長との最初の出会いです。当時から「この人の考え方はいいな」と感じていました。大人になってビジネス経験を積んだ今は、「私は信長に似ている」と勝手に親近感を覚えています。

信長は既存の仕組みを破壊して新しい仕組みを創造しました。その発想は、現状のよくないところの課題点を新しいビジネスに転換するという、私たちのやっていることと似ているのです。

オフィスで働く人々のシルエット。チームワークとパートナーシップの概念。ネットワーク効果を使用した二重露光
写真=iStock.com/alphaspirit
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有名な桶狭間の戦いで言えば、今川義元の2万人とも4万人ともいわれる大軍に、数千人の兵力で立ち向かったわけです。家臣たちは城に籠もるしかないと言った。まともに戦って勝てるはずがないと、誰もが思っていた。しかし信長はそうは思わなかった。

今川義元を討ち取れるとまで思っていたかどうかはわかりません。けれど少なくとも、あの圧倒的な劣勢を挽回するアイデアが彼にはあったんだと思う。世間の常識にとらわれず、自分の頭で考えるから、アイデアが湧いてくる。アイデアが湧いたら、試してみたくなるじゃないですか。