ハーツバーグの流れを組んで、ダニエル・ピンクが編み出した「モチベーション3.0論」。今、日本の職場では、ダニエル・ピンクの論に反する現象が起こっており、それは労働環境の危機につながる、と筆者は説く。

今、気になっていることがある。

複数の調査結果を見ると、働く人のモチベーションの源泉が、ダニエル・ピンクの言ういわゆる3.0レベルから2.0レベルへと回帰しているように思えるのである。別の言い方をすれば、働く人のモチベーションの源泉として、フレデリック・ハーツバーグの考えた、いわゆる衛生要因が挙げられることが多いのである。

ハーツバーグは、1960年代に米国ピッツバーグ市で、多数の働く人にインタビュー調査を行い、「達成」「承認」「仕事そのもの」「責任」「昇進」などがモチベーションを向上させ、「会社の方針と管理」「監督」「監督者との関係」「労働条件」「給与」「同僚との関係」などの欠如や悪化がモチベーションを下げていることを発見したのである。これに基づき、ハーツバーグは、モチベーションを上げる効果のある要因を「動機付け要因」、反対に下げる影響を与える要因を「衛生要因」と呼んだのである。いわゆるモチベーションの二要因理論である。