若手・中堅社員の意識・価値観の変化とは

図2 中堅・若手層の仕事観(重視する項目)
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図2 中堅・若手層の仕事観(重視する項目)

さらに、ほかの調査結果を見てほしい。図2は、私がしばしばこのコラムで取り上げる愛知県経営者協会が、10年6月に発表した「新時代における『働きがい』とは“中堅・若手層は仕事に何を求めているのか”」という報告書からの抜粋である。例年どおり愛知経協の研究報告書は視点が鋭い。

正直に言って、私は、この結果を見て、身がすくんでしまった。モチベーションという観点から見て、今の中堅・若手層が重視する項目の上位にくるのは、単純に、自分を見ていてくれる上司や、その上司からの褒め言葉、さらには、業務目的や自らの役割分担が明確になっていることなのである。

具体的には、図2は「働きがいという観点から見て、あなたが重視する項目」を聞かれた場合の順位である。さすがに、第1位は、「仕事を通じて自分の成長につながることを学びたい」という項目で、約68%が選択している。ピンク仮説は健全のように思える。

だが、第2位になると、「多少厳しくても自分のことを考えてくれる上司と仕事がしたい」で約54%、第3位が「業務の取組み姿勢や成果を褒められたい」で約43%、第4位が「業務目的や自身の役割分担が明確な状態で仕事をしたい」で約42%である。そして、第5位に、ほぼ同率の約42%で、「賃金・賞与や福利厚生が充実した会社で働きたい」がくる。

これらの項目は、モチベーション2.0要因であり、衛生要因である。給料、賃金や賞与などは、とても明確に2.0レベルだし、上司からの指示や承認、明確な役割設定などは、ピンク流に言えば、働く人に外から与えられるモチベーションであり、自律的な働き方が重視される知的労働者のモチベーションには、マイナスのインパクトがある要素であるとされる。同じように、ハーツバーグ流に考えれば、いい上司に恵まれることや、明確な業務目的や役割などは、衛生要因に入り、本来はモチベーションを下げることはあっても、高める要素ではないと主張される項目である。

また、もっと直感的に、愛知経協調査で、中堅・若手層が、「多少厳しくても自分のことを考えてくれる上司」や「業務の取り組み姿勢や成果を褒められたい」などの項目を、働きがいの重視項目として挙げていることが、私には驚きだった。本来の仕事を通じての達成感や、成長感などの要素は、いったいどこにいったのであろうか。職場では、基礎的であるこうした要素さえ、十分に与えられていないのか……。不安さえ覚える結果である。