いま経営者や投資家の間で、「テキサスホールデム」というルールのポーカーが人気を集めている。運やハッタリだけではなく、数学的根拠に基づくゲームだということが広く知られるようになったのが一因だ。全世界で1000万人以上の愛好者がおり、日本国内でも手軽に楽しめる「アミューズメントカジノ」のような場が増えつつあるという。『ゼロから勝てるポーカー』を著した投資家のけむ。氏が解説する――。
配られた2枚のカードから頭をフル回転させ、他のプレーヤーの動きや場に見える共通カードなどの情報も総合しながら、相手に勝てるかどうかを見極めていく――。
写真=iStock.com/KevinJCook
配られた2枚のカードから頭をフル回転させ、他のプレーヤーの動きや場に見える共通カードなどの情報も総合しながら、相手に勝てるかどうかを見極めていく――。(※写真はイメージです)

「継続的に勝ち続ける人」は何が違うのか

優勝賞金10億円以上のプロスポーツ、ポーカー。毎年ラスベガスで開催される世界最大のポーカートーナメントWSOPでは、莫大な優勝賞金を夢見て、世界中から数万人ものポーカープレーヤーが集結する。

参加資格は特になく、誰でも参加費さえ払えば、大会に挑むことができる。今日ポーカーを覚えたばかりの人であっても、世界のトッププレーヤーと同じ土俵で戦うことが可能なのだ。そしてどちらにも等しくチャンスが与えられ、誰でも優勝し、富と名声を得ることができる。

とはいえ、もちろんルールを覚えたばかりの初心者が、運と勘だけを頼りに勝ち続けることは難しいだろう。勝利の可能性を少しでも高めるために、彼らは相手のわずかな動作・表情・プレーから、最大限の情報を得ようとする。日々最新戦術を研究し、0.1%、0.01%でも勝率を高めるための努力を惜しまない。

ところで、初心者と上級者は何が違うのだろうか。刹那的な結果を見ただけでは、どちらが実力者かすら分からないこともあるだろう。しかし長期的に見れば、かならず勝つべくして勝った者、負けるべくして負けた者の差が、明確に表れるのである。

これは、ビジネスや投資の世界でも同じことが言える。瞬間的な運を味方につけ、短期的な成功を収めた例は枚挙に暇がないが、運だけを頼りに継続的に成功を収めている例は稀だろう。