誰でもが練習量を多くするのが正解か

だからといって、誰でもが練習量を多くするのが正解かといったら違いますし、何が正解かがわからないというか、正解はないと思う。その人その人のやり方がある。

上原浩治『OVER結果と向き合う勇気』(JBpressBOOKS)

1年目、巨人に入ったときは、ピッチャーはベンチプレスはやらないほうがいいという時代でした。でも、大学時代は前期後期と試合の間に長い休みの期間があるけれど、プロは1年間やるわけだから、体力をつけるためにもウエートトレーニングが必要だろうと思ったんです。体の線が細かったですしね。不思議がられましたけど、うまくいった。

で、2009年に米国に渡りました。周りがデカい人ばっかりなので、こりゃ大きくならないと勝負にならないと思い、筋トレで体重を増やしたんです。でも、それが失敗でケガをすることが多くなりました。体重を落とすとケガもなくなって、体のキレも出てきた。

トレーニングに正解はありません。いろんな方法がある。大事なのはそのときの自分を知って、合ったものをいかに早く取り入れるかということじゃないですかね。そう考えると、僕の人生、ずっと自分の体を使って実験していたといえるかもしれません。

練習を1日サボるとそれを取り戻すのに3日かかる。で、1カ月トレーニングやった成果が出るのは3カ月後。1月の自主トレでやったことが開幕に生きてくるんです。

僕だって練習から逃げたいときはあります。でも、誰かにやらされているわけでもない。自分で決めたことですから。打たれたときのことを思い出したり、ライバルはもっと練習しているだろうと思ったりして取り組みました。結局、最大の敵は自分。楽しようと思っている自分に、いかに打ち勝つかということなんですよ。

(構成=遠藤 成 撮影=松本昇大)
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