持ち家はリスクだが今は「買い時」
家賃15万円で賃貸住宅に住み続けるか、それとも家を買って住宅ローン15万円を支払い続けるかを比較した場合、生涯支出の観点から考えると賃貸のほうが少なくて済むだろう。賃貸の場合は1~2年ごとに更新料が必要になったり、引っ越しのたびに敷金・礼金・仲介手数料を支払ったりしなければならないが、持ち家の場合は、それ以上に出費が増える。一般的には購入時に住宅ローンの頭金で数百万円を支払い、このほかに不動産取得税や登録免許税、ローン関係の手数料や仲介手数料を支払うことになる。居住時は毎年、固定資産税がかかり、さらにマンションの場合は管理費や修繕積立金、一戸建ての場合はそのつど修繕費が必要になる。
それなのに、なぜ持ち家志向の人が多いのか。それは、持ち家の場合、自分のものになるので資産価値があると考えているからだ。ところが実際は、数十年経過した建物の資産価値はゼロに等しく、土地についても人口減少社会では都心や人気のある地域ならともかく、それ以外では地価の上昇は望めず、期待を大幅に下回る資産価値になってしまう可能性は大きい。
そう考えると、持ち家よりも賃貸のほうが無難だといえる。賃貸の場合、子供が小さいときは小さな家に住み、学校に入学したら子供部屋のある家に移り、子供が独立したら夫婦2人で住める広さの家に引っ越しするというようなフレキシブルな対応が可能だ。持ち家の場合、住宅ローンの返済期間が75歳までなら、それまで毎月15万円を返済し続けなければならないが、賃貸の場合は老後、夫婦2人で家賃10万円以下のところに住むことも可能なので、経済的な効率もはるかにいいといえる。ただし、賃貸の場合、社会的信用力が弱いことだけは覚悟しておくべき。会社や金融機関から、持ち家の人ほど容易にはお金を借りられないだろう。