学校で子どもにお金について考えさせることは、悪いことなのか。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘氏は「アクションワールド」という教室内通貨をつくり、実際にクラスでお金を知る疑似体験を行った。そこで子どもたちは何を学んだのか――。
※本稿は、沼田晶弘『世界標準のアクティブ・ラーニングでわかった ぬまっち流 自分で伸びる小学生の育て方』(KADOKAWA)を再編集したものです。
なぜ大人はお金を教えることを嫌がるのか
以前、あるインタビューで、「生徒たちにはどんな子どもに育ってほしいですか」と聞かれたとき、ボクはこう答えました。「もし、日本の法律が急に変わって12歳から社会人になって働けと言われても、うちのクラスの子たちなら、すぐに企業の即戦力として働ける」と。
ボクは、子どもたちとニュースの話をしながら社会のしくみについて説明しているし、授業で会社の経営のことなどにも触れています。それに、大人の人が「子どもにしてほしくない話」の第1位に挙げるであろう「お金の話」も。
うちのクラス出身者は、そこらの小学生に学力で負けても(負けないとは思いますが)、生きる力では負けない。ほかのどんな小学生よりも実社会に触れていると自信を持って言いきることができます。
学校で子どもたちにお金について教えていると言うと、なんで嫌がる人が多いのでしょうか。現代社会にとって、お金はなくてはならない価値基準の一つだし、実際、誰もが仕事でお金を稼ぎ、その稼いだお金を使って生活しているのに、子どもには教えたくない。それって変だと思いませんか?