同地区にある飯場(建築現場作業員の寮)で生活している男性に、この薬屋について詳しく伺った。男性は薬屋に通い続け、あらゆる種類の薬を集めている“コレクター”だという。
睡眠導入剤でトリップする若い女性たち
「俺がよく購入する薬はデパスとリリカ。デパスは1シート10錠で300~500円。最近値上がりして1000円になったな。リリカも1シート10錠で300円。今は通販でも買えるけど、リリカを通販で買おうと思ったら同じ量で3万円近くはするから、闇市で買うのは当たり前だろ」
デパス、リリカは医師の処方箋がないともらえない処方箋医薬品だ。ネットでの販売は違法である。当然であるが、露店での販売も違法だ。
デパスは抗不安薬、睡眠導入剤として使われ、リリカは神経障害性疼痛の鎮痛剤として使われることが多い。男性は腰にヘルニアを発症しており、現場作業中に服用することが多いという。
「俺が普段行っている解体現場は力仕事しかないから、腰が痛くてどうにもならないときがある。リリカは25ミリ・75ミリ・150ミリと強さが分かれているが、『もう思い切りいったれ』と300ミリ一気に飲み込んだことがある。そのときは足場に登っていたが、目がグルグル回って本当に焦ったからな。昔は覚せい剤も打っていたくらいだから大丈夫だと思ったんだけどな」
デパスは合法でありながら依存に陥る危険性もある。抗不安薬、睡眠導入剤には様々な種類があるが、合法で手に入るがゆえに、乱用に走ってしまうという社会問題にもなっている。
「デパス、リリカのほかに睡眠導入剤のハルシオン、マイスリーも闇市では売られている。問題なのは、そういった薬を求めて、最近女子大生風の若い女の子がよく露店に来ていることだな。その子たちは不眠症のためではなく、大量に服用してトリップするために買っているわけだ。この前もマイスリーを1シート買って、その場で3錠一気飲みしている子がいてな。『自分、あかんで、死ぬで』と注意したが、すでに目がグルグル回っていて、話にならなかった」
薬物乱用と聞くと、覚せい剤、コカイン、MDMAなど違法薬物が真っ先に思い浮かぶが、病院で処方される合法な薬にも依存性があるものが含まれていることを忘れてはならない。警察にはいち早く、根絶を前提とした摘発を求める。