マスコミを信頼している日本人と信頼していない英米人

PISA調査の読解力が、日本は急落、英米は上昇という結果を知ったとき、私が思い出したのは、「軍隊」「警察」「行政」などどんな組織・制度を各国民は信頼しているかという点に関する「世界価値観調査」の調査結果である。

図表4は、同調査において主要国の国民が、さまざまな組織・制度に対してどのぐらい信頼を寄せているかを一覧表にしたものである。例えば、日本人は「裁判所」への信頼度が最も高く、73.7%の人が信頼していると回答しているので、70%台の欄に裁判所と記載している。

主要国における組織・制度への信頼度(世界価値観調査2010年期)

どの国でも、「警察」「裁判所」といった司法機関や「軍隊」への信頼度は高くなっている。こうした組織への信頼度が低いと安心して毎日生活できないので、当然のことなのかもしれない。

一方、「政府」に対する信頼度は、いずれの国も高いとはいえない。日本、英国、イタリアは10~20%であり、最も高いスウェーデンでも50%台止まりである。表には掲げていないが中国における政府への信頼度は80%台と高いのとは対照的である。どんなに「政府」への信頼度が低くても、自分たちが選んだ政府なので、政権自体は安定しているというのが民主主義国家の強みなのである。

日本の特徴は、一見して分かる通り、「新聞・雑誌」や「テレビ」といったマスコミへの信頼度が60~70%台と他国と比較して非常に高い点にある。主要国の中では、米国、英国、イタリア、オーストラリアではマスコミへの信頼度がせいぜい10~20%台であるのと比較すると雲泥の差である。日本ほどではないが、やはりマスコミへの信頼度が高いのは韓国ぐらいである。