企業・経済小説13作品一覧

■毎日が日曜日 城山三郎著、新潮文庫
毀誉褒貶の著しい総合商社の巨大な組織のうごめきと、商社マンとその家族の日常生活を描く。会社員にとっての幸福な人生とは何かを追求していく。

■首都圏銀行 清水一行著、徳間文庫
地銀の頭取と副頭取の熾烈な権力争い。かつての上司である中央銀行副総裁の庇護の下にいる副頭取に対して、頭取の秘書役が策謀を講じていく。

■バイアウト 上・下 真山 仁著、講談社
外資系ハゲタカファンドのマネジャーと、元バンカーの企業再生家らが、不良債権処理や企業買収を巡り激突。NHKで放映された「ハゲタカ」の原作。

■傷 幸田真音著、文藝春秋
将来を嘱望された大手邦銀NY支店のディーラーが、滞在先のNYのホテルから投身自殺……。緻密な構成とスピーディな展開が売りの金融ミステリー。

■希望退職を募る 小説 企業再建 江波戸哲夫著、講談社文庫
東京都大田区の板金業者が物語の舞台。急死した父を引き継いだ2代目社長は、人員削減と賃金カットを宣告する。副社長以下、従業員は猛反発するが……。

覇権への疾走―ドキュメント・ノベル日産自動車 高杉 良著、講談社
日産自動車会長と自動車労連会長がモデルとされる。経営と労組の癒着ぶりを描く。文庫版タイトルは『労働貴族』。

■金融腐蝕列島 上・下 高杉 良著、角川文庫
総会屋対策のポストに異動させられた銀行員たちが組織と個人の狭間で葛藤し、闇の勢力と交渉する。

■十三人のユダ―三越・男たちの野望と崩壊 大下英治著、新潮文庫
三越のワンマン社長が味わった栄光と挫折。人間の欲望と思惑が交錯する大手百貨店の内実を克明に記す。

■評伝 北一輝 1~5巻 松本健一著、岩波書店
国賊北一輝の思想と、順逆不二の奔放な人間像、そして生涯を読み解く。

■凛冽の宙(そら) 幸田真音著、講談社文庫
バブル崩壊後、弱体化した企業を食い物にする外資系金融機関の手法を描く。

■巨大投資銀行 上・下 黒木 亮著、ダイヤモンド社
旧弊な邦銀からNY投資銀行へ転身した主人公を通じ、現代の世界金融を圧倒的なスケール感で描く。

■華麗なる一族 上・中・下 山崎豊子著、新潮文庫
不気味で巨大な権力機構「銀行」。都市銀行の再編をめぐる動きを著者が凄まじい取材力で描写した。

■金環蝕 石川達三著、岩波現代文庫
高度経済成長期、与党の総裁選をめぐり発生した多額の汚職事件。野望と欲に取りつかれた人々、政治腐敗を描く。

(構成=大塚常好 撮影=若杉憲司)