「収益に陰り」で9年振りの社長交代
10月末、キーエンスは山本昇則社長(54)から中田有取締役(45)に社長を交代することを発表した。
キーエンスはファクトリーオートメーション(FA、生産プロセスなどの省人化・自動化)関連のセンサーや画像処理関連のシステムを手掛ける超高収益企業だ。従業員に支払う給与水準もかなり高い。有価証券報告書によると、2019年3月20日現在、従業員数2388人、平均年齢35.8歳、平均勤続年数12.1年、平均年間給与は2110万円となっている。
ここまでキーエンスの業績は順調に伸びてきた。ただ、2019年度に入ると、中国経済の減速の影響などを受けて収益はやや伸び悩みはじめている。そのタイミングでの社長交代だった。
今回の人事を見ると、同社は若い世代に経営のバトンをわたし、変化への適応力を高めることによって一段の成長を目指そうとしているように見える。組織全体がこれまでの成功体験に浸るのではなく、常に新しいビジネスにチャレンジする経営風土に磨きをかけることを意図しているのだろう。
その意図が期待どおりの成果を上げることができれば、業績が拡大して高い報酬を従業員に支払い、優秀な人材を惹きつけ続けることはできるはずだ。