パナソニックが展開する美容家電が好調だ。とくに、ナノ(10のマイナス九乗)レベルの微粒子イオンで肌に潤いを与えるスチーマーがここ最近の旬。購買層の中心は30~40代。
「04年に『ナノケア』を発売してから昨年末までに累計で200万台売れました。技術が進歩して価格が安くなったことと、美に対する関心の高さが結びついた結果だと思います」というのは、同社ビューティー・ヘルスケア商品チームの山田詩織さん。安いといっても1万~3万円前後。決して安い買い物ではないけれど……。
「人気芸能人のケア方法がブログで紹介されたりして、情報がすごく豊富になりましたよね。一般の人が芸能人並みの美を自分自身にも求めて、芸能人のような美容方法を施す時代になったんだって、つくづく感じます」
可愛さを拠り所に年齢、価格帯といった障壁を次々と打ち破ってきた猛者たち。芸能人と一般人の垣根を飛び越えたところで、もはや驚きません。では、彼女たちに届くマーケット戦略について。
「いかに商品を身近に感じてもらえるか。ハイテク技術やイメージをアピールすることも必要ですが、使用者の声をすごく大事にしました。実際に使った人のクチコミ的な情報がもっとも効果がある。07年に新商品を発売したときには、2007人のモニターを集めました」
2007とは桁外れ。通常、掃除機や洗濯機などのモニター募集は数十人規模で行われるケースが多いという。そして、成果は「@cosme(アットコスメ)」という人気クチコミサイトでパナソニック社製のスチーマーが5年連続美容家電部門で1位に輝いたことにも表れた。
「デザインや技術面でもアラサー、アラフォーの女性が多く関わっています。自分たちが、こんな製品だったら欲しいなと思う感覚を大切にしています」
企業側からの一方的な広告にはびくともしない。自身の感覚、同性の意見が彼女たちを動かすのだ。それでは最後に、現実世界の大人ガールから生の声を聞いてみよう。