「このまま定年まで我慢するより、いっそ早期退職して」。そんな考えが頭をかすめた人もいるだろう。だが、41歳でリクルートを辞めた前川孝雄氏は、人材育成コンサルタントとして独立。早期退職後に700通のあいさつ状を出したが、返事はゼロだったという。その後、なぜ前川氏は立ち直れたのか——。
※本稿は、前川孝雄『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
希薄になりがちな古い友だちとの付き合い
大企業で働くミドルは日々の忙しさにかまけて、古い友だちとの付き合いが希薄になりがちです。また、地域社会や趣味など会社以外の場所で新しく友だちを作ることにも積極的ではありません。
これは人生後半戦のことを考えると危険信号。だから、「自分には名刺がなくても付き合える社外の知人が何人いるだろうか?」ということを常に自分に問い続けていただきたいですし、少ないと感じたのなら、今すぐ友だちと呼べる関係を増やしていくよう意識的に行動していただきたいのです。
700通の退職あいさつ状を送るも反響ゼロ
かくいう私は、会社を辞めた後で、名刺や肩書がなくても付き合える友だちの大切さを痛感することになりました。
キャリア支援、人材育成を仕事にしたいと考えて起業した私は、当初、リクルート在籍時に得た人脈がビジネスのきっかけになるのではないかと考えていました。そのため、これまで名刺交換した人たちの中からこの人はという人をピックアップし、700通ほどのあいさつ状を送りました。そのうち1割くらいからは、すぐに仕事の依頼とまではいかなくても、何かしらの反響はあるだろうと見込んでいたのです。
サラリーマン時代には縁のなかった税理士さんや司法書士さんを探して依頼し、会社を設立。自分なりに事業計画を立てて、その計画が絵にかいた餅にならないためには、まずは顧客や仕事の獲得です。この700通はその大きな一歩につながるはずでした。
——ゼロ。しかし、私の甘い見通しは見事に裏切られました。反響は「ゼロ」だったのです。